鼠径（そけい）ヘルニアは、「脱腸」とも呼ばれる症状で、特に男性に多く見られます。腹圧がかかったときに腸の一部が鼠径部（足のつけ根）から飛び出すことで、痛みや違和感を感じることがあります。

そんなときに役立つのが「鼠径ヘルニアベルト」です。しかし一見似ている「腰サポーター」や「骨盤ベルト」などと混同されることも少なくありません。実は、これらのサポーターには構造的にも目的的にも大きな違いがあります。

この記事では、「鼠径ヘルニアベルト」と「他のサポーター」との違いをわかりやすく解説し、選び方のポイントも紹介します。

他のサポーターとの違いは？

1. 圧迫する位置の違い

　腰サポーターや骨盤ベルトは、腹部や腰回りを広く支えるのに対し、鼠径ヘルニアベルトは「足のつけ根部分（鼠径部）」のみを局所的に圧迫します。

　これにより、ヘルニアの膨らみを効果的に抑えることが可能です。

2. 目的の違い

　腰サポーターは腰痛の軽減、骨盤ベルトは骨盤の安定を目的としています。一方、鼠径ヘルニアベルトはヘルニアの再突出を防ぐことが目的です。サポート範囲が狭い分、より精密な圧迫設計が求められます。

3. 素材と構造の違い

　他のサポーターは伸縮素材を多く使いますが、鼠径ヘルニアベルトは圧迫を安定的に保つための硬めのパッドが採用されています。これにより、長時間の着用でも圧力が一定に保たれるよう工夫されています。

4. 医療機器としての位置づけ

　鼠径ヘルニアベルトは、医療機器として分類されるものが多く、症状に合わせたフィッティングが推奨されています。自己判断で選ぶよりも、医師の指導のもとで使用するのが安全です。

メリットと注意点

・手術前後のサポートに有効

　手術前の症状緩和や、術後の再発防止に活用されます。

・日常生活を支える

　着用することで立ち仕事や歩行が楽になるケースも多いです。

　一方で、長時間の使用や強すぎる圧迫は血流を妨げる可能性があるため、正しい装着方法を守ることが重要です。

まとめ

鼠径ヘルニアベルトは、一般的な腰サポーターや骨盤ベルトとは異なり、「鼠径部の圧迫に特化した医療用サポート具」です。目的が明確に異なるため、見た目が似ていても代用はできません。

腰や骨盤のサポーターを使用してもヘルニアの症状改善にはつながらないことが多いため、必ず鼠径ヘルニア専用のベルトを選ぶことが大切です。

医師に相談しながら、自分の症状や体型に合ったタイプを見つけ、快適な日常生活を取り戻しましょう。